あんまりよく知らない人に土地をあげると言われて見に行ってきた話。

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最終更新日 2018.5.28

昨年の11月に出会った小さなcafeを営む年配のご夫婦がいる。
今年の5月にはcafeを閉め、全国にいる大切な人たちに会って周る旅に出るという。

ご主人はトゲのあるタイプだが、本音で語る姿はとても魅力的で言葉に迷いがない。
ここ数年でぼくが感じてきた生き方などの問いに対する答えを持っている人だ。

遥か先を歩いているが、ぼくと同じ道を歩み同じ価値観を共有できる人に違いない。

こんな話をすればさぞかし親しい間柄だと思うかもしれないが、
実はまだ2回しかお会いしたことがない。

ぼくは人を直感で判断するタイプで、ご主人に対しても直感的にそんな風に思っている。

↓そんなご主人から先日こんなことを言われた。

主人「俺ね、負の遺産を持ってるんよ。」

ぼく「え? 負の遺産ってなんですか?^^; (ま、まさか膨大な借金・・・?)

主人「いやね、使っていない土地があるんよ。」

ぼく「はあ。。?」

主人「よければ君もらってくれない?」

ぼく「え? あ、ちょ、その土地によると思いますけど^^;」

ぼく「っていうか、くれるんですか?・・ただで?」

主人「ああ、売れんのよ。気に入ったらあげるよ。」

ぼく「…。」

主人「今、地図書いてやるけん、とりあえず見ておいで。」

と言われ、その場で主人がさささっと地図を書いて渡してくれた。

↓その地図がこれw 近所ではなくまさかの熊本。。
手書きの地図

こうして2回しか会ったことのない怪しいおじさんから現実感のない提案を受けたぼくは、
後日、家族を乗せて車を走らせ、熊本にあるその土地を見に行った。
この無責任なざっくりとした地図を頼りに。。。

穏やかな空気が流れる住宅街の奥地に到着。
十数メートル手前ですごく道が狭くなるので、クルマを降りずには行けない。
手前の民家の敷地内?にクルマを停めて、ほんの少し歩く。

はじめまして、ぼくの土地。
(まだぼくの土地ではない…)

木々に囲まれ、隣に鳥居があるせいか、とても厳かな佇まい。

こんな小さな土地でも草花が自由に生きる姿に自然の息吹を感じる。
そしてどこか懐かしい。
なぜか、たんぽぽを摘む妻と娘の姿に胸が熱くなった。

「いつか敷地内に桜があって、窓から桜が見えるカフェでもしたい。」
ぼくは妻に何度かそんな話をしたことがあった。

「数年は何も使わないとしても、今のうちに桜を植えておきたいね。」
数日前には妻と二人でそんな妄想話なんかしたりして。

すると敷地と路地の境界あたりに桜の木が立っていたから驚いた。

植えるどころか、もはやさくら付きの土地と言ってもいいぐらい。
となりの敷地にもそれはそれは見事な大きな桜の木が。

ただで貰えるということが大きなアドバンテージになっているのは確かだが、
ぼくら夫婦は着いてすぐ欲しいと感じていた。
それはその気持ちを抑えようと言葉を選んで話しているのをお互いが強く感じるほどに。

もちろんクルマを乗り入れることができないことや取得時にかかる税金のことなど、
吟味しなきゃいけないことは沢山あるので、まだ譲り受けることを決めたわけではない。

でも、ここにはぼくや妻が言葉では説明しづらい何かが漂っていて、
あえて言葉にするなら、、
「幸せのかけら」
そんな言葉がしっくりくる気がする。

「幸せは待っていても勝手には来ない」とか「幸せは自分で掴み取るもの」とか言うが、、

我が家には幸せのかけらがひとりで勝手に歩いてきた。
コン コン と静かにノックをするように。

こんなこともあるんだなあ。。